カフェ開業でよくある物件トラブルとその対処法

「せっかく見つけた物件だったのに、開業してから後悔した」

カフェ開業では、物件まわりのトラブルが原因で計画が大きく狂ってしまうケースが少なくありません。しかもその多くは、契約前にチェックしていれば防げたものです。

この記事では、カフェ開業でよくある物件トラブルを具体例とともに紹介し、それぞれの対処法を解説します。

トラブル1|電気容量が足りない

どんなトラブル?

エスプレッソマシン、オーブン、冷蔵・冷凍庫などを同時に使うと、カフェは意外と電気を食います。契約後に「容量が足りず機器が動かせない」と発覚し、増設工事で数十万円〜かかることも。しかも建物によってはそもそも増設できないケースもあります。

たとえば業務用エスプレッソマシンは単相200Vが必要なことが多く、ピークタイムに複数の機器が重なってブレーカーが落ちる、というのもよくある話です。特に古いビルや住宅併用の物件では、建物全体の受電容量に上限があり、「自分の区画だけ増やしたくても建物の都合で無理」ということもあります。

対処法

内見の段階で必要な電気容量を洗い出し、増設できるかどうかを契約前に確認する。「大家さんが上げられると言っていた」だけで信用せず、実際に工事できるかまで詰めておくことが大切です。

具体的には、次のステップで確認すると安心です。

  • 今の契約容量と分電盤の空き回路をチェックする

  • 増設の可否と概算費用を、電力会社・管理会社の両方に確認する

トラブル2|排気・給排水が飲食店仕様でない

どんなトラブル?

物販や事務所だった物件は、排気ダクトや給排水が飲食店向けになっていないことがあります。後付けすると大掛かりな工事になり、内装費が一気に跳ね上がる原因になります。

特に排気は、ダクトを屋外までどう通すか(縦引き・横引き)で費用が大きく変わり、ビルによっては共用部を通せず断念…というケースも。給排水管の口径が足りない、といった見えにくい問題は、工事が始まってから発覚すると数十万〜百万円単位の追加になることもあります。

対処法

内見時に排気経路・給排水の位置と状態を確認し、飲食店として使えるか、追加工事がどれくらい必要かを見積もっておく。

チェックしておきたいポイントは次の通りです。

  • 排気ダクトを屋外まで通せるルートがあるか(共用部の使用可否も)

  • 給排水管の位置・口径が厨房レイアウトに合うか

  • 前テナントの業態(飲食かどうか)と、設備の流用可否

できれば内装業者に内見同行してもらい、その場で概算を出しておくと安心です。

トラブル3|居抜き設備が使えない

どんなトラブル?

「居抜きだから設備を活かせてお得」と思って契約したのに、実際は設備が古すぎて使えず、撤去して入れ直すことに。結果、スケルトンより高くついた——というのはよくある失敗です。

よくあるのが、厨房機器は残っているものの故障・年式が古く保証もない、レイアウトが自分のオペレーションに合わない、前店の造作が残っていて撤去費だけで数十万円、というパターン。さらに造作譲渡料(前テナントへの支払い)が上乗せされ、「タダで使えるつもりが結局高くついた」ということも起こります。

対処法

居抜き設備は「残っている」だけでなく「そのまま使えるか」を必ず確認する。使えない設備の撤去費用も含めて総額で判断することが重要です。

判断するときは、次を意識すると失敗しにくくなります。

  • 主要機器の年式・動作・保証の有無を1つずつ確認する

  • 自分のメニュー・動線に合うレイアウトか

  • 使わない設備の撤去費と、造作譲渡料を合算する

トラブル4|用途制限・営業許可でカフェができない

どんなトラブル?

物件の用途制限や建物の条件によっては、そもそも飲食店営業ができない、深夜営業ができないといったケースがあります。契約後に発覚すると取り返しがつきません。

たとえば、用途地域や管理規約で飲食が制限されている、住居併用ビルで匂い・煙・深夜の人の出入りがNG、アルコール提供や深夜営業(0時以降)に別の届出が必要といった条件は見落としがち。さらに保健所の営業許可は物件の設備要件(手洗い・シンクの数など)を満たさないと下りず、内装をやり直す羽目になることもあります。

対処法

重要事項説明の段階で、用途制限・営業許可・営業時間の条件を必ず確認する。カフェの業態(軽飲食か、深夜営業ありか等)に合っているかを照らし合わせておく。

特に次の点は、契約前に確認しておきましょう。

  • 用途地域・建物用途で飲食店営業が可能か

  • 管理規約や賃貸借契約に、業態・営業時間・匂いの制限がないか

  • 酒類提供・深夜営業をするなら必要な届出は何か

不安があれば、契約前に管轄の保健所へ「事前相談」に行くのが確実です。

トラブル5|賃料発生日が早すぎる

どんなトラブル?

カフェは契約後すぐに内装工事が必要で、開業までに数ヶ月かかります。賃料発生日が早いと、売上ゼロの期間にまるまる家賃だけが出ていくことになり、資金計画を圧迫します。

たとえば工事に2ヶ月かかるのに賃料発生日が契約日からだと、その2ヶ月は売上ゼロで家賃だけが出ていきます。家賃20万円なら40万円がまるまる持ち出し。ここに保証金・前家賃・内装費が重なると、開業前に想定より資金が目減りし、運転資金が足りなくなる…という危険もあります。

対処法

工事期間を見越して、賃料発生日やフリーレント期間を交渉する。カフェ開業では特に重要な交渉ポイントです。

交渉・確認のポイントは次の通りです。

  • 内装工事にかかる期間を先に見積もる

  • その期間をカバーできるフリーレント(1〜3ヶ月など)を交渉する

  • 賃料発生日を「引き渡し日」ではなく「オープン予定日基準」に近づけられないか相談する

トラブル6|原状回復の範囲が広い

どんなトラブル?

退去時に「スケルトン返し」が求められ、想定外の原状回復費用が発生。契約時に範囲を確認していないと、閉店・移転時に大きな負担になります。

飲食店のスケルトン返しは、厨房設備・内装・配管・ダクトの撤去まで含めると数十万〜数百万円になることも珍しくありません。「居抜きで入ったのに退去時はスケルトンで返す」契約だと、前テナントの造作まで自分の費用で撤去することに。開業時は工事費に気を取られがちですが、「出口」の費用を見ていないと、閉店・移転のタイミングで一気に効いてきます。

対処法

契約前に原状回復の範囲(スケルトン返しか、現状のままか)を明確にしておく。将来の負担まで含めて条件を判断する。

次の点を契約書で確認しておきましょう。

  • 原状回復は「スケルトン返し」か「入居時の状態」か

  • 自分が付けた造作と、前テナントの造作、それぞれの扱い

  • 原状回復工事の業者指定(貸主指定だと割高になりがち)

  • 保証金から差し引かれる範囲と、返還の条件

トラブル7|特約に不利な条件が隠れている

どんなトラブル?

契約書の特約に、後から不利になる条項が入っていることがあります。見落としたまま契約すると、営業や退去の際にトラブルの火種になります。

たとえば「中途解約は6ヶ月前予告」「解約時に違約金として賃料◯ヶ月分」「賃料の改定条項」「特定の業態・営業時間の制限」「看板や外観の変更禁止」など。どれも契約書の後半に小さく書かれていることが多く、読み飛ばすと後から効いてきます。特に中途解約や違約金の条件は、うまくいかなかったときの撤退コストを大きく左右します。

対処法

重要事項説明・契約書の特約事項を一つずつ確認し、不明点は必ず質問する。専門家に一緒に見てもらうと安心です。

最低限、次の条項はチェックしておきましょう。

  • 契約期間・更新の条件と、中途解約の予告期間

  • 違約金・原状回復・保証金償却など「お金が出ていく」条項

  • 賃料改定や、業態・営業時間・看板に関する制限

  • 又貸し(サブリース)や事業譲渡の可否

少しでも引っかかる表現があれば、そのまま契約せず、書面で解釈を確認しておくと安心です。

まとめ

カフェ開業の物件トラブルは、その多くが契約前のチェックで防げるものです。

  • 電気容量・排気・給排水がカフェ仕様か

  • 居抜き設備は本当に使えるか

  • 用途制限・営業許可はクリアできるか

  • 賃料発生日・フリーレントは適切か

  • 原状回復・特約に不利な条件がないか

これらを一つずつ確認するのは大変ですが、カフェ物件に慣れていないと見落としがちです。

個人カフェ不動産では、カフェ専門家が内見同行から契約チェックまで一貫してサポートし、こうしたトラブルを未然に防ぎます。

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