家賃は売上の何%まで?カフェの家賃適正の考え方

カフェ開業の相談で、意外と多いのが「この家賃って、高いんですか?安いんですか?」という質問です。物件情報を見ても、その家賃が自分のカフェにとって“適正”なのかどうかは、なかなか判断がつきにくいものです。

この連載「カフェ物件選びのヒント」では、カフェ開業支援から生まれた不動産会社「個人カフェ不動産」の視点で、物件探しにまつわるテーマを一つずつ取り上げています。

今回のテーマは「家賃の適正」。物件が良さそうに見えても、この判断を誤ると開業後にじわじわ効いてくる部分なので、契約前にしっかり押さえておきましょう。

家賃は「金額」ではなく「比率」で見る

まず大前提として、家賃は「月◯万円だから高い/安い」という絶対額だけで判断するものではありません。大切なのは、想定売上に対して家賃がどれくらいの割合を占めるか、という「家賃比率(売上高家賃比率)」です。

家賃比率(%)= 月額家賃 ÷ 月商 × 100

たとえば同じ家賃30万円でも、月商150万円のカフェなら比率20%で重い負担ですが、月商300万円なら10%で健全、という具合に、意味がまったく変わってきます。

物件を見るときは、必ず「その家賃で、どれくらい売れば成立するのか」とセットで考えることが大切です。

カフェの家賃適正は「売上の10%以内」が目安

業態にもよりますが、個人カフェの場合、家賃比率の目安は次のように考えると分かりやすいです。

  • 〜10%:健全ライン 利益を確保しやすく、運営に余裕が生まれる

  • 10〜15%:要注意ライン 立地や回転率でカバーできれば成立するが、余裕は少ない

  • 15%以上:危険ライン 少しの売上減で赤字に転落しやすい

カフェは客単価が低く、原価率(フード・ドリンク)や人件費もかかる業態です。だからこそ、家賃は「10%以内」を一つの基準にしておくと、無理のない経営がしやすくなります。

なぜ「10%」なのか:FLR比率で考える

家賃比率を語るうえで欠かせないのが「FLRコスト」という考え方です。FLRとは、

  • F(Food)=原価

  • L(Labor)=人件費

  • R(Rent)=家賃

の3つを指し、飲食店ではこのFLRの合計を売上の70%以内に収めるのが健全とされています。

カフェの一般的な内訳では、原価率が30%前後、人件費率が30%前後かかることが多く、この時点で60%。残りをふまえると、家賃に回せるのはおよそ10%程度、というのが「10%以内」の根拠です。

つまり家賃だけを単体で見るのではなく、「原価・人件費を引いても利益が残る家賃か?」という視点で判断することが重要になります。

家賃から逆算する「必要売上」の出し方

家賃比率の考え方は、逆に使うこともできます。気になる物件の家賃から、「毎月いくら売らないといけないか」を逆算するのです。

必要月商 = 月額家賃 ÷ 目標家賃比率

たとえば家賃25万円の物件で、家賃比率10%を目指すなら、

必要月商 = 25万円 ÷ 0.1 = 250万円

この250万円が、営業日数・席数・客単価・回転数で現実的に届く数字かどうかを確認します。仮に月25日営業なら1日あたり10万円。客単価1,000円なら1日100人。席数と回転率でその集客が可能かをイメージすると、「その家賃で成立するか」が具体的に見えてきます。

「安い家賃」に潜む落とし穴

家賃比率だけを追うと、「とにかく家賃の安い物件を選べばいい」と思いがちですが、そこには注意が必要です。

  • 立地が弱く、そもそも想定売上に届かない(比率は良くても売上が出ない)

  • 空中階・地下で集客に追加コストがかかる

  • インフラ工事や原状回復の負担が大きく、総額では割高

  • 面積が狭く席数が取れず、売上の上限が低い

家賃が安いのには理由があることも多く、「安い=正解」ではありません。家賃の額面だけでなく、その物件で無理なく到達できる売上と、工事も含めた総額で判断することが大切です。

家賃が高めでも成立するケース

逆に、家賃比率が10%をやや超えても成立するケースもあります。

  • 客単価が高く、回転もしっかり見込める好立地

  • テイクアウト比率が高く、席数以上に売上を作れる業態

  • 認知・集客力が強く、広告費を抑えられる

この場合でも、「家賃が高いぶん、どこで回収するのか」という設計がセットで必要です。感覚で「駅近だから大丈夫」と飛びつくのではなく、売上の裏付けを持って判断しましょう。

まとめ

カフェの家賃適正を考えるうえで大切なのは、

  • 家賃は絶対額ではなく「家賃比率(売上の何%か)」で見る

  • 目安は売上の10%以内、15%を超えると要注意

  • 原価・人件費を含めたFLR70%以内で考える

  • 家賃から「必要売上」を逆算し、現実的な数字かを確認する

  • 「安い家賃」も「高い家賃」も、総額と売上の裏付けで判断する

こと。家賃は毎月固定でかかり続ける“逃げられないコスト”だからこそ、契約前に「この家賃で本当に成立するのか」をシビアに見ておくことが、開業後の安心につながります。

個人カフェ不動産では、カフェづくりの視点で、想定売上や席数・客単価をふまえた「家賃が適正かどうか」の判断も一緒に進められます。気になる物件があれば、家賃の妥当性チェックだけでもお気軽にご相談ください。

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